「チェンバロ」と羽根の関係って?

 チェンバロは16〜18世紀にヨーロッパで奏でられた鍵盤楽器、いわばピアノの先祖です。ハープシコード(英)、クラヴサン(仏)と呼ばれることもありますが、全て同じ楽器のことで、最古のものは15世紀に作られたとされています。
 教会のパイプオルガンと並んで「バロック時代」を代表する鍵盤楽器で、バッハ、ヘンデルらの生きた時代は勿論のこと、後のハイドン、モーツァルト達の幼少時代まで、西洋音楽の歴史の中では非常に重要な役割を果たしました。音色のみならず、様々な装飾がなされた優雅な外見は、宮廷や貴族の邸宅の一室においても、存分に存在価値を発揮し愛されたたことでしょう。
 チェンバロとピアノの最も大きな違いは、音を出す原理にあります。ピアノは鍵盤を押すとハンマーが弦をたたいて音を出しますが、チェンバロはプレクトラムと呼ばれる小さな爪が弦を引掻いて音を出す仕組みになっています。その爪の材料として昔は鳥の羽根の軸の部分(羽軸)が使われていたのです。
 羽軸のプレクトラムで引掻かれる弦は、長いもので2メートル程もある金属でできた弦ですから、軸に相当な硬さのある羽根でなければ使い物になりません。ワシ、タカなどの猛禽類やワタリガラスなどの渡り鳥の羽根が当時、主に使われていましたが、現代はそのような鳥の羽根は入手が非常に困難であることから、本物の羽軸を使った楽器は数少なくなりました。ほとんどのチェンバロに、羽軸と似た素材の合成樹脂でできたプレクトラムが使われています。

マイコ・ミュラー・百瀬 昭彦

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