夏休み特別企画
トキの保護、その先にあるものは?

 

                         提供:環境省 協力:自然環境研究センター

 国内で一度野生絶滅したトキ。中国から借り受けたつがいを人工繁殖で増 やせいかくんれん やせいふっき
やし、野生化訓練の後、野外に放つという、大がかりな野生復帰プロジェクトが佐渡島を中心に進められています。関係者の努力が実を結び、38 年ぶ りに野生での巣立ちが確認されました。
 多くの人とお金をかけてトキを保護する意味はどこにあるのでしょうか? その理由は、時代とともに少しずつ変化してきました。
トキの数が減少し、日本では珍しい鳥になったころ、おもにその希少価値を守りたいという理由で、国の特別天然記念物に指定されました(1952 年)。また、この鳥の希少性が世界中に広く知られるようになると、人間活動によって減少したこの鳥を守るべきだという野鳥保護の観点から、国際保護鳥に指定されました(1960 年)。
 さらに、絶滅の恐れのある生物を調査して作成されたリスト(レッドデータブック)が、国際自然保護連合(IUCN)により発行され、トキは絶滅危惧 1A 類(危機的絶滅寸前種)に位置づけられました。環境省はこれを参考に、国内のローカルなレッドデータブックを作成し、この中でトキを野生絶滅 *種 とし、種の保存法により保護してきました。
 そして現在、私たちがくらす地球上の生態系の保全という観点から、生物多様性条約(1992 年)が締結され、国内では、生物多様性国家戦略が推進されています。トキの保護プロジェクトもこの活動の一環です。トキを放鳥することは、トキの生息できる里山の環境を保全することであり、それは私たちが安全で安心な環境の中でくらし続けることにつながります。このような地域社会を再生できるようなしくみをつくることが最終的な目標です。
 環境省は、平成 15 年に佐渡地域の環境再生ビジョンを作成し、この中で こ「平成 27 年頃、小佐渡東部に 60 羽トキを定着させる」ことを至近的な目標かか に掲げ、最終的には農村社会の再生を目指しています。
今年、放鳥されたトキが営巣し、そのヒナが巣立ったことは、この目標を達成するための大きな一歩になることでしょう。

* 今年、野外でトキが誕生したことを受け、絶滅危惧 1A 類へランクを下げることが検討されています。