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里山(さとやま)という言葉を知ってますか?

平成12年4月29日(土) 〜 8月27日(日)

 虫捕りをした雑木林、メダカが泳ぐ小川、カエルやザリガニ捕りをした水田・・・、ほんの少し前まで、私たちの身近にあった風景で、農村くらしと結びつき、維持されてきました。こうした風景の残る自然環境を里山(さとやま)と呼んでいます。 しかし、人々のくらしが近代的で便利になるのとは引きかえに、里山の自然はしだいに失われていきました。
 今回の企画展では、こうした里山の自然に目を向け、そこにすむ鳥のくらしを通じて、さまざまな生き物がかかわりあう身近な自然のしくみを紹介します。 また今でも里山らしい自然が残る谷津田(やつだ=谷筋に入り込むようにつくられた水田)にすむ鳥「サシバ」のくらしにもスポットをあてて紹介します。人のくらしと様々な生き物のくらしがかかわり合う、里山の自然の豊かさを考えてみましょう。



里山って知ってますか?
 最近、里山という言葉をよく耳にします。この言葉からほとんどの日本人は、春にはタケノコや山菜、夏にはカブトムシやクワガタ、秋にはクリやキノコをとった雑木林を思いうかべるのではないでしょうか。
 里山は、「集落の近くにあり、かつては薪炭林用木材や山菜などを採取していた、人との関わりのふかい森林」(大辞林)であり、人々が生活するため、長い間安定的に管理し利用し続けてきた裏山の雑木林ということになります。
 近ごろでは、裏山の雑木林のほかに、田んぼや草地、水路やため池、集落なども含め、かつてはどこの農村にも見られた自然環境を里山自然という言葉で表し、日本人の原風景ともいうべき自然に人々の関心が集まるようになりました。


鳥がくらす里山自然
 小鳥の一日のくらしを考えてみましょう。日の出とともに起きて活動します。朝起きると、まず餌の昆虫や種を探します。お腹がいっぱいになると、水浴びや羽づくろいをして体の手入れをします。日が高く昇ると、茂みに隠れて休みます。日が傾きはじめる頃、また餌を食べ、やがて夜を過ごす安全な場所で眠りにつきます。 このように、鳥は一日のくらしの中で、餌場、水場、隠れ家、ねぐら、などいろいろな場所を使います。一年の生活を考えると、「子育て」や「渡り」もあり、さらに多くの場所が必要になります。 人が長い間管理し続けてきた里山自然のどんな環境をどんな鳥がどのように利用してくらしているのか、@食べる、A育てる、B休む・隠れる、の三つの生活スケジュールに分けて、のぞいてみましょう。 人のくらしにはいらなくなったけれども、鳥のくらしにとっては欠かすことのできない「場所」が見つかるはずです。


我孫子の里山自然をさがそう
 我孫子市は首都圏のベッドタウンとして昭和40年ころから人口が急増し、住宅地も増えました。それとひきかえに、農業を営む人が減り、農地も減少しました。
 我孫子市内の里山自然は、農地をどのように維持していくか、それを決める農業のあり方にかかっています。
 我孫子市の地図をながめながら、現在、どこに里山自然が残っているのか見つけてみましょう。
 



サシバという鳥
サシバは、分類学上、鳥綱、ワシタカ目、ワシタカ科、サシバ属に分類される中型の鳥です。日本では多くの地域で夏鳥として秋田県以南に渡来し、低い山や、丘陵地帯の森林や低地の谷津田などの農耕地で観察することができます。九州,四国,本州で繁殖し、海外ではアムール地方南部、ウスリー地方、中国東北地方から河北省にかけて、さらには朝鮮北部で繁殖していることが知られています。10月中旬から3月にかけては暖かい南の国へ渡って冬を越します。日本では屋久島以西の南西諸島で越冬することが知られています。海外では、台湾、中国南部、ミャンマー、インドシナ、マレー半島、フィリピン、ボルネオ、スラウェシ、マルク諸島、ニューギニアなどが越冬地として知られており、繁殖地と越冬地の間の約2,000kmものはなれた2つの生息空間を春と秋に大移動することで使い分けています。つまり、1羽のサシバが温帯域の日本列島から熱帯・亜熱帯域の東南アジア諸国を含む広大な生息圏をもつとってもスケールの大きな鳥です。
サシバのすがたかたち
 全長約50cm、翼を広げると102〜115cm、体全体は褐色で目の上には眉斑があり良く目立ちます。頬は灰色、喉は白色からクリーム色で中央に黒い縦線が1本あり、胸から腹にかけて褐色の横斑(幼鳥は胸から腹にかけて暗褐色の縦斑)があります。尾羽は灰褐色で4本の横帯があります。雌雄の区別の判別は、雄は羽が赤銅色で,頭部が灰褐色を示し、雌は灰色味がなく,頭部も羽も暗褐色です。雌の方が雄に比べて、いくらか大きくなります。


サシバの衛星追跡
 サシバは春になると越冬地から 2000km以上を渡って繁殖地に戻り、秋には繁殖を終えてまた来た
道を渡って越冬地まで戻ります。しかし、実際のところ、サシバがどこで越冬するのか、どこを中継地として利用して繁殖地に向かうかはまだハッキリとはわかっていません。

 サシバにとって越冬地や中継地や繁殖地のどれが欠けても生存に重大な影響を受けます。サシバの保護を考えるとき、これら地域の環境の保護を考えなくてはなりません。それには、先ず第一に、サシバの渡り経路を知ることが重要です。多くの人たちの努力により衛星に電波を送り位置を知ることが出来るシステム(アルゴス・システム)も開発され気象衛星ノアに搭載されました。大きく重かった送信機自体も今では15gほど(鳥に装着できる送信機の重さは体重の4%以下でないと鳥の生活に支障があると言われています。)まで小型になり、中型程度のサシバでも装着出来るようになりました。今後、サシバの渡りの研究が行われ渡りが解明され繁殖地や中継地や繁殖地の環境の保全が進むはずです。


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